着育

●着物の美しさ


着物を着ていると
「着物は素晴らしい」「着物は美しい」
と褒めて頂くことがあります。
着物を愛する者にとってはとても嬉しいお言葉です。

でも着物の本当の「素晴らしさ」「美しさ」は
どれくらい伝わっているのでしょうか?

着物の素晴らしさに隠された土地の気持ち、
その土地を管理する人たちの姿、
お蚕さんの気持ち等々、
自然と融合しながら生きて行こうとしている
ひとたちのことをもっと理解して頂けたら、
本当の意味での「素晴らしさ」「美しさ」を
実感して頂けるのではないでしょうか?





●着育とは

着る物を正しく選ぶ、正しく着る、正しく洗う
知識を体系化して学ぶ事。

国民一人一人が、
生涯を通じた健全な衣生活の実現、
衣文化の継承、
健康の確保等が図れるよう、
自らの「衣」について考える習慣や
「衣」に関する様々な知識と
「衣」を選択する判断力を
楽しく身に付けるための
学習等の取組みを指し、
様々な経験を通じて「衣」に関する知識と
「衣」を選択する力を習得し、
健全な衣生活を実践することが
できる人間を育てること。
衣の自給率を知る、
生産者を知る、
産地を知ることで衣類の大切さ尊さを実感すること。




●ファストファッション

今、「早くて安い」ファストフードになぞらえて、
ファストファッションという言葉で表現され、
最新の流行を取り入れながら低価格におさえた衣料品を
短いサイクルで世界的に大量生産、販売する業態が増えてきています。

まだ、着られる服を流行を追う為に使い捨てにする行為は
カッコイイことなのでしょうか?

安いから大事にしないでいいなんて誰が決めたのでしょうか?
高級品は大事にするけど、安物は使い捨てだなんておかしくないですか?

ファストファッションが良い、悪いということではなく、
値段に関係なく大切にして欲しいと思うのです。

コンビニの大量の廃棄弁当に違和感を覚えているのなら、
リサイクルとして収集された衣服(古着)がパキスタン等の
コットンの生産地の庶民の衣服となっていることや、
毎年都内の粗大ゴミのトップが布団だということをどのように感じますか?

日本には全ての物に神が宿っているという八百万の神という
素晴らしい考え方があります。
先人がそうしてきたように、全ての物を大切に大切に扱う心を
持つことがこれからはとても大事なような気がします。




●自給率

「衣・食・住」は私たちの活動の基盤です。
人間と動物の大きな違いは衣服を着ているかどうかです。

年々、食に関しての問題意識は高まっていて、危機感を持たれている方も多いかと思います。
でも、衣に関しての危機感をもたれている方はまだ少ないのではないでしょうか?

現代は着るものに困る時代ではありませんが、食と同じように自給率で見ると、
生糸の自給率は限りなく0%に近い状態なのです。
危機が騒がれている、食の自給率よりもはるかに低いことに驚かれるかもしれません。

皮膚は消化器官、排泄器官につながり、
第三の脳ともいわれ大変重要な役割をもっています。
その皮膚に直接触れる衣類は生命活動をサポートするという
意味でも、食と同じくらい関心を向ける必要があると思いませんか?




●適地適作

その土地の気候、風土に合った作物、品種を栽培することで
自然に無理なく生活に必要なものが得られる。

とても大切なことのように思えます。




普通の農産物ならば、口に入れる物なので問題を認識しやすい
けれど衣服となると無関心なままになってしまうのは
仕方のないことなのでしょうか?

今、皆さんが身にまとっている衣服が何から出来ているのか、
どこで作られているのかを考える。
石油から作られた糸を機械が編んだ布で作られた衣服を
まとっているということを意識する。国産の素材を探してみる。

まず、意識をするというところから始めてみませんか?

●絹糸の源

皆さんは着物が何から出来ているかをご存知でしょうか?

日頃、絹、シルクと一言で片付けているこの美しい布が
カイコという蛾の幼虫の吐いた細い糸で作られていることを
ご存知でしょうか?

歴史はとても古く、4500年以上も前から中国でカイコは飼育
されていました。
中国の絹織物はシルクロードを経て各国に輸出され、ローマでは
金と同量で交換されるほど高値での取引きがされていたそうです。
日本でも税や年貢の代用として上納されていた歴史があるほど
貴重に扱われていました。
日本に伝わってきたのは約1800年前で、鎖国が行われる前
までは輸入が中心でしたが、鎖国により手に入らなくなったこと
で各地で養蚕がさかんに行われるようになり、明治時代以降には
輸出が出来るようにまでなり、品種改良や飼育技術の進歩は
目覚ましく発展していきました。

カイコは完全な家畜昆虫として人間が改良をしているので、
餌を与えなければ生きてはいけません。

絹糸を吐く為だけに生まれてくるのです。
なので、野生のカイコはいません。人間が作り出した虫なのです。

クワコという、天蚕、野蚕、などは野生のカイコとも呼ばれます
が、実際にはヤママユガ等の種類でカイコガとは厳密には品種が
違い、体の形も、食べる餌も、性質も、吐く糸の色にも違いが
あります。
クワコとカイコの大きな違いは空を飛べるかどうかですが、
いつから飛べなくなったのか正確な年代は不明です。

ここではカイコガ科の種類のものをカイコと呼びたいと
思います。



●着物

繭は冬は冷気を、夏は熱気を遮断して中の蚕を守ります。
そして、蚕が呼吸して出した毒素や湿気などはそのまま排出し、
外からの毒素は中に入れません。
このようなことから、絹は生きた繊維とも呼ばれています。
この繭の効果は私達が絹を身に着けた場合でも同じで、
夏は涼しく冬は暖かく、一年を通して清潔に着用することが
出来ます。
精練がされ、糸になった状態でも動物性のタンパク質の特性は
完全には失われずにいることから、着用しているだけでもお肌
がきめ細やかになるとも言われています。

織り方や染め方の違いで風合い、感触などを自在に変えることが
出来、歴史的にも一部特権階級の占有品として珍重されていました。
摩擦や水に弱くとてもデリケートな繊維として大切に扱われてきました。
シワになりやすいという欠点さえも、絹ならではの風合いとして愛され続けています。



●自給率

現在では和装需要の減退、海外での加工された絹製品の輸入増加
により、国内の養蚕農家の数や繭生産量は大幅に減少をし、
農林水産省の調べによると、現存する養蚕農家の数は全国でも
1021戸しかないのです。(2010年3月現在)

洋服はともかく、着物ですら中国やブラジルなどから輸入された
絹で作られているのです。
外国産が良い悪いという問題ではなく、せめて着物くらいは
日本の絹であって欲しいと願うばかりです。

適地敵作とは、その土地、気候、風土にあった作物、品種を栽培
することで自然に無理なく生活に必要なものが得られるという
意味ですが、日本のお蚕さんが吐く糸の長さは輸入のものよりも
約2倍長く、強度も強いということからも着物にとても向いて
いるのです。

日本には約400種類ものカイコの品種が遺伝資源として保存されています。




●お蚕さまの一生

養蚕に携わる方々にはカイコに敬愛を込めてお蚕さまと呼ばれています。
お蚕さまの一生は約2週間。
卵の状態から計算すると、寿命は約50日間。

卵から孵化すると桑の葉を食べ始めます。
(人工飼料の場合もあります。)
カイコはとてもデリケートで農薬のついた桑の葉は食べません。

卵→幼虫→蛹→成虫、と4つの形に形状を変えていきます。

幼虫の体調は約3ミリ。体の成長に伴い、皮膚は大きくならない
ので皮膚を脱ぎ捨てる脱皮という行為を成虫になるまでに4回
繰り返します。

脱皮をする前に新しい皮膚が表面の皮膚の下に出来るまで、
上半身を持ち上げて静止し餌を食べるのをやめて、
じっと待ちます。
この姿がまるで寝ているように見えるので眠(みん)
と呼ばれています。
年齢はこの脱皮と眠の回数で表現され、4眠、4脱皮で
5歳(正確には5令)で糸を吐き始め繭の制作に入ります。
糸を吐き始める直前から餌を食べなくなり、成虫になるまでは
何も食べません。
繭を作り終えると繭の中で蛹になり、約10日後に繭糸と繭糸の
間から頭を出し、約30分かけて繭から出てきます。

繭から出て、約1時間後に求愛が始まり相手を見つけて交尾をし、
交尾後、数時間で産卵が始まり、約3日間卵を産み続け、
産卵後に力つきて一生を終えます。




●農業

最盛期の昭和初期には全国の農家の約40%が養蚕に従事して
おり、全農地の約10%の62万ヘクタールでお蚕さんの餌と
なる桑が栽培されていました。
最近まで、ほとんどのカイコを飼育する農家では稲も育ており、
米の収穫までの間の貴重な収入源であり、生活の糧でもあり、
養蚕と稲作の結びつきはとても深いものがあったそうです。

カイコを育てるには餌となる桑の葉が不可欠です。
カイコは桑の葉以外は一切食べません。
また、農薬のついた桑の葉も食べないので無農薬で桑を育てる
必要があります。

孵化してから繭を作るまでの間に約25グラムの葉を食べます
が、どんなに空腹でも桑の葉が30センチ離れている場合、
そこまでたどり着けません。
歩く力も弱く、物につかまる力も弱くなっているので、野外に
放したとしても生きて行くことは出来ないのです。
人間が餌を与えるまでじっと待っています。
言い換えれば、長い間家畜として飼われてきたため、餌を探す
必要がないので、その能力が退化してしまっているのです。
また、成虫するとカイコ蛾になりますが、交尾の相手も人間が
用意し、卵を産む場所も人間が用意するので羽が退化し、
飛ぶことも出来ません。

農家さんは朝夕2回、桑の葉が絶えないように与え続けます。
通常、農家では桑の葉が茂る春から秋にかけて4~5回に分けて
カイコを育てています。

江戸時代から明治時代にかけて各地でさかんに養蚕が行われて
いました。
当時は稲作の落ち着いた時期に養蚕をするというのが一般的で
した、養蚕をしていない農家でも、稲作の合間に繭から糸を
引く作業をしたりと、なにかしら生糸に関わっていました。
その昔は、米作と製糸はとても密接な関係があったようです。





●繭から絹糸

繭から絹糸を採取する際は成虫になるまで待っていると
繭に穴があいてしまったり、体液で汚れてしまうので羽化する前
に収穫ならぬ収繭をします。
糸をとる為に繭の状態でお湯にさらしてタンパク質をおとして
糸を繰り出します。

繭の中のサナギは成虫になることなく、その一生を終えるのです。




●第二の人生

繭の中で死骸となった蛹は食用として、健康食品、錦鯉の餌、
有機肥料として有効活用されます。
さらに、成虫になった蛾は医薬品として、フンは家畜肥料とし
て、スキンケア用品として、ホワイトニング化粧品として、
最近では生糸を精練する際にでる精練液までもがスキンケア
効果があることが認知されつつあります。

また、昔の人は着物生地になったあとも蒲団、風呂敷、おむつ、
などと形を変えて何度も何度も繰り返し再生させていました。

人間の衣服の為に糸を吐き、命をまっとうさせたお蚕さんに感謝
し、糸から糸になるまで大切に大切に扱っていた先人を見習って
行きたいと思います。

また、カイコの餌となる桑も、樹皮、樹木、実、全てが有効に
活用されることから、命を使い切る木と言われています。

カイコが作り出す絹は歴史や文化にも大変な影響を与えて
来ました。
古代中国からローマへと続いたシルクロードは東洋と西洋の
文化交流をすすめ、明治維新後の日本の近代化を支えたのは
蚕糸業でした。

数千年もの間、人はカイコの為に桑を育て、カイコは人の為に
糸を吐くという関係性を培ってきたことを私たちは忘れては
いけないと思います。

綿

●綿

衣服の素材、繊維として最も馴染みの深い
綿は植物から出来ていることはご存知ですか?

木綿植物の種子に付く綿毛を、収穫してつくられる繊維で
主成分はセルロースです。
5月頃に種をまくと7月、8月には黄色い花をつけ、その花が実
を結び、コットンボール(綿花)ができて、9月から11月の間
にそのボールの中から白いわたがふわふわと溢れてきます。

このコットンボールの中の半分以上が種なので、大変な手間を
かけて種とわたを仕分けして繊維としての綿を紡ぐのです。

高温多湿な日本で育ちやすく、各地で栽培が可能でしたが北は
新潟辺りまでが限度と言われていました。
しかし、最近では気候の変化のせいか、種類によっては北海道で
も栽培が可能になりつつあるそうです。

栽培がさかんだった明治中期までは品種も約200種類以上
あったそうです。

繊維の長さにより短繊維、中繊維、長繊維、超長繊維に分けら
れ、吸水性、保温性、耐熱性、耐洗濯性がよく幅広く使われて
おり、それぞれの特性を生かした製品が作られています。




●自給率

Tシャツ、靴下、ハンカチ、ふとんなど、日本に溢れている
綿製品。
浴衣、足袋、肌襦袢、晒、などなど、絹中心と思われがちな着物
の分野でも欠かせない素材のひとつです。
昔から衣の中心素材であった綿の自給率は明治中頃までは100
パーセント自給されていましたが、昭和30年頃を境に落ち込み
現在ではほぼ、0パーセントというのが現状です。
200種類以上もあった地方品種も外国綿に押され、
種までもがすら絶滅の危機にさらされているのです。

日本には日本の気候、風土に適した1200年以上の歴史のある
綿があるのにも関わらず、今では国産綿(和綿)にこだわった
方々が、細々と作っているだけで、ほぼ100パーセント、
外国の綿に依存してしまっているのです。




●農業問題

綿の自給率が0パーセント、日本で必要な綿を輸入綿に頼ってい
るということは、日本以外の土地で大量に栽培、生産されている
ということ。

綿を栽培し輸出する国では必要以上の綿を安く大量に栽培する
ために、自然の生態系に無理をかけざるを得なく、一つの作物
を大量に毎年作っていると綿はとてもデリケートな作物なので、
害虫も大量に発生する。
種にあらかじめ防虫剤を散布し、化学薬剤、肥料により土壌
消毒をし、害虫駆除剤を使用し、効率をあげる為に除草剤を使い、
収穫の際には枯れ葉剤で葉を落とす。

綿栽培における農薬の使用量は地球上に存在する約1/4が使用
されているといっても過言ではありません。
加工の際には化学糊、漂白剤、化学染料、防腐加工剤、柔軟仕上
げ剤などなどさまざまな化学薬品を使うので工業排水も大量に出
されているのです。
また、環境を考えて、オーガニックコットンとよばれている
無農薬コットンが注目されていますが、遺伝子組み換えにより、
害虫が綿の葉っぱを食べると死んでしまうという種類を
オーガニックコットンとして売ているところもあるそうです。

日本綿を国内で栽培、販売する場合の人件費を計算すると
綿1キログラムが約16000円。
輸入綿の場合、1キログラムが約300円~700円。
20倍から50倍以上の値段の開きがあるのです。

この価格の裏には輸出国での農薬の大量使用、遺伝子組み換え
問題などの生態系を破壊する栽培が行われている現実があり、
さらには1日150円程度で収穫作業を低賃金で働いてくれ
ている人々がいるのです。

●大麻、ヘンプ、マリファナ

これらはすべて同じ麻のことを表す際に使われる言葉ですが、
大麻は古くから繊維や種を採取する為に栽培され、日本では縄文
時代から麻から作った衣服を着て麻の実を食べて、繊維は衣服や
縄に、種は食料や燃料に、茎は建材に、そして葉や根は薬用に
利用されてきました。

麻は通気性と吸水性が抜群で湿度の高い日本では、昔から衣類の
主流とされ、夏の着物や帯、草履や帯の鼻緒、蚊帳、花火、洗濯
紐、などなどと探すと生活に密着していたことがうかがえます。




●神聖な麻

麻には霊が宿ると言われ、古代から麻を身につけることは身の穢
れを浄化すると考えられ、神事の際の衣、神衣とされてきました。
神社にある鈴縄や注連縄(しめなわ)など神域とされる対象物、
いわゆる依り代には麻が使われています。
お祓いの際に振られる紙垂「しで」も昔は麻の皮を糸状に
細かく裂いたものを使用していたそうです。

また、出産の際のへその緒を結んだり、妊婦さんの髪を結んだ
り、麻の葉の模様を産着にほどこし魔除けのおまじないを
したそうです。

お盆の際に作るキュウリの馬や茄子の牛の足には麻の茎を
使用しています。

新嘗祭や、皇室内の祭祀でも麻布が使われていますし、
伊勢神宮内でも、大御神の絹布は和妙(にぎたえ)、
麻布は荒妙(あらたえ)と呼ばれていて神職の方々が機織りを
し、その布を神様に奉納する習慣があります。
伊勢神宮で頂くお札にも神宮大麻という文字が書かれています。
日本の神事を語る上では欠かすことの出来ないのが麻なのです。





●麻の栽培

麻は世界各地で栽培でき約4ヶ月でまっすぐに2~4メートルに
まで成長し、害虫や、雑草にも強い為、農薬を必要としません。
それどころか、農薬で痛めつけられた土地に大麻を3年植え続け
た人の土地がその後何を植えても植物がよく育つようになった
という報告もされています。

着物や帯として使われている苧麻という種類は別名からむしとも
呼ばれ、イラクサ科の多年草で、通常のものよりも細く、上質な
布が織れるということで、上布と呼ばれています。
真夏に刈り取り、皮をはいで、水に浸し、繊維をしごいて引き、
引いた繊維を乾かして、糸を引くという工程で一本の糸になります。
長い糸にするために撚りをかけて強くしてから整糸をします。
はいだ皮は畑に戻し、肥料となります。

こんなにも日本文化に密着した繊維は大麻取締法が制定されるま
で何千年もの間、日本中の各地で麻の栽培が行われてきたのです。

また、名前に麻という文字がよく使われますがこれには麻のよう
に素直ですくすくと丈夫に育って欲しいという思いが込められて
います。

●麻の規制

現在の日本では大麻取締法による規制で栽培が難しいと言うのが
実情です。第二次世界大戦後のGHQ占領下において、幻覚症状を
もたらす植物栽培が廃止されてしまったのです。
でも実はこの法令、アメリカの勧める石油繊維の消費の促しと、
さらには日本の神道をないがしろにして、日本文化を否定する
ことが目的だったのではないかと言われています。
昔、麻で作られていたものが今ではすべて石油繊維になって
しまっているのです。

ヨーロッパ諸国やカナダでも、第二次世界大戦後から約50年間
ヘンプの栽培が禁止されていましたが、1990年代に入り環境に
やさしくて利用価値の高いことが評価され、栽培が解禁される
ようになりました。アメリカも州半分は解禁されています。

日本での栽培は都道府県知事から許可をもらえば栽培が出来ます
が、実際にその許可を得る為には厚生労働省などの行政指導が
あり、人のあまりいないところでの栽培しか許可が下りないのが
現実のようです。そう考えると、現在、地球上で大麻を育てられ
ないのは日本のみというのが現状です。



●麻の有効性

麻が石油の代わりになることから今や衣服だけでなく、住宅用の
建築素材、土に戻るプラスチック、紙、化粧品の原料などに使わ
れはじめ、さらに麻の実(種子)は、大豆に次いでタンパク質が
多く、必須脂肪酸やビタミンがバランスよく含まれているため、
心筋梗塞やアレルギー疾患などを予防・改善する食べ物として
見直されており、
麻からできる商品は、およそ25,000種類にもなるといわれています。

それに伴って麻の研究と商品化が急速な勢いで進んでいて麻を
推進する国々では、農業の活性化、地域振興、新しいマーケット
の拡大、雇用対策に大きく貢献できるひとつの産業として
捉えているようです。

ただ、残念ながら今の日本の法律では禁止薬物に指定されており、
医師の処方箋でも使用できない薬物とされ所持する事はもちろん、
使用する事も不可です。
そして麻を栽培する事自体が許可なく出来ないことは
変わることのない現実なのです。

ウール

●ウール

衣類、布団などと綿につづいて馴染みのある素材、ウール。
ウールは羊の毛を刈り取って紡いだ物なので動物繊維で、
人間が毛を取るために改良を重ねた家畜です。
なので毛刈りをしないと死んでしまいます。
動物の皮膚は人間と同様に免疫機能を持っています。
羊毛と言ってももともとは羊の皮膚が変形して生まれたものなの
で、羊を守る為の免疫機能が備わっているのです。

また、化学物質を吸着して無害な物にする働きがあることが実証
されました。化学物質を吸着して空気を浄化してくれ、さらには、
一度吸着したら外部に放出しないという特性を持っていることは
あまり知られていないようです。

吸湿性、断熱性が高く夏涼しく冬暖かいので一年を通して活用で
きる素材として8000年をも超える歴史を持った、繊維の王様
と呼ばれています。

染まりやすく、汚れにくいのでカジュアルな着物としても長く
愛用されています。

地球上には約3000種類の羊がいて、羊の血統や種類や生息
する国や地域によって品質が異なり、衣類、布団、断熱材など
品質に合わせた製品作りがされています。




●羊からウール


一本の糸、毛糸になるまでたくさんの手間がかかっています。
ウール産出国世界一のオーストラリアでは、
羊から刈り取られたウールが熟練した人間により、長さ、太さ、
不純物の混入などを選別し、石けんで綺麗に洗って脂や土砂を
取り除き、適度の水分(約18%)を残し乾かして、からまら
ないように油をかけて機械に通して繊維1本ずつにほぐして、
束ねて、引き伸ばしてと言う工程を何度か繰り返して糸状に
されるのです。

羊は1年間大事に育てられ、春の出産時期を終えて初夏が迫ると
毛の刈り取りが始まります。
羊が風邪をひかないように夏が始まってから毛を刈ります。
一頭の羊から3キロのウールが取れ、スーツなら2着分ほどに
相当します。

羊を育てる人(ウール・グロワー)と、羊の毛を刈り取る人
(シアラー)がいて、毛を分類、管理する人(クラッサー)
がいて、代理店、問屋(ブローカ)がオークションにかけて
買い付け(ウール・バイヤー)されてコンテナーに高圧梱包
されて輸出されます。

いずれの職業も登録制で牧場ごとに契約がされています。

また、取り出された脂は精製されラノリン、グリースなどになり
有効活用されます。

一言でウールと言っても実は種類はメリノ、アルパカ、カシミヤ、
モヘヤなど多種で約3000種ほどになります。

羊と言うとニュージーランドが思い出されますが、羊毛産出国で
はオーストラリアが世界一で、次いで中国、
そしてニュージーランドと続きます。



●羊毛

一般に羊毛の生地には、ビジネススーツ等の手触りの硬い、
しっかりした梳毛織物と膨らみがあり、やわらかい手触りの紡毛
織物の2つのタイプが製造されています。




●自給率

ウールは江戸時代までは全面的に輸入に頼っていました。
第一次大戦後に羊毛の輸入が禁止され、羊の飼育の取り組みが始
まりました。湿度の高い日本の気候では羊の牧畜は向いていなか
ったため、あまり発展しませんでしたが昭和20年から30年ま
でのピーク時には北海道内に約50万頭以上が飼われていました。
昭和25年に羊毛の販売規制が廃止されると海外からの大量の安
い羊毛が入ってきて、さらに化学繊維の普及により、衣料自給の
必要がなくなり、現在の飼育数は約4000頭にまで減少して
いきました。

その後、羊毛で羊肉としての飼育が発達し、メリノ種ではなく
サフォーク種が増え、北海道内では約2万頭にまでになりました。
サフォーク種からとれる羊毛はサフォークウールと呼ばれます。
顔と手足が黒いのがサフォーク種です。




●羊

毛、皮、皮脂、肉、乳、と家畜としては約8000年以上前から
中国で飼育されていた歴史があります。
毛はウール、皮は羊皮紙、皮脂はラノリン、肉、乳は羊肉、羊乳、
チーズなど無駄なく利用されています。

一般的にオスの角はくるくると長く曲がっていますが、
品種によっては角がないものもあります。
群れたがる性質をもち、先導者に従う傾向がとても強いという
生態から、宗教的にもしばし、羊飼い(神)と羊飼いに導かれる
羊(信者)になぞらえられています。

また、中国ではとても大切にされてきたことがあらゆる漢字の
部首に使われていることからも伺えます。

化学繊維

●化学繊維

自然の中にある繊維を天然繊維と呼び、人が化学的に作り出した
繊維を化学繊維と呼びます。中には天然の原料を用いて作るもの
もありますが、多くは石油を原料としています。

天然の原料を用いて作る繊維の代表的な物はレーヨンで、植物の
主成分を化学的に取り出し、薬品で溶かし繊維に再生してること
から再生繊維とも呼ばれています。

一方、ポリエステル、アクリルとは石油から化学的に合成された
繊維で、石油の成分から物質を取り出し化学物質をくっつけて
作られていて、原料に合成していることから合成繊維とも
呼ばれています。

これらの化学繊維は衣料品をはじめ、寝具、インテリアなどに、
強度があることから産業用にも多く使われていて、
人間の生活にはなくてはならないものとされています。




●産業

日本の化学繊維産業は全世界の生産量の約4%を製造して
いて日本の産業を支える重要な産業の一つと言われています。

食の世界での化学は一部の人たちには悪者扱いですが、
繊維としての化学は必ずしもそうではありません。

風力発電の風車に使用され効率のいい発電を可能にし、
航空機の軽量化により燃料の節約を実現し、
携帯電話などの電子機器の小型化、軽量化にも貢献しています。
また、不燃素材は消防服として、高強度素材をシートベルトや
エアーバッグなどに使用されています。




●環境

昨今、限りある資源を大切にする様々な取り組みが行われていま
すが、化学繊維では完成品をもとの原料に戻す
ケミカルリサイクルが出来るというのが他の繊維との
大きな特徴です。

ただ、土に埋めてもバクテリアによって分解がされないため、
適確なリサイクル方法が必要です。

最近では微生物で分解されるポリ乳酸繊維と呼ばれる合成繊維も
開発され、衣料品や農業用資材にも使われ始めています。




●着物

浴衣や帯が安価で売られていますが、着用の際の小物類も紐を
はじめ、ほとんどの帯がポリエステル素材で作られています。

ポリエステルの着物も存在し、安価で手入れが簡単ということ
から飲食店用のユニフォームなどから徐々に普及し始めています。
限りなく絹糸に近いポリエステルもあり、実際に見た目や感触で
は区別がつかないほどのものも開発されていますが、絹独特の
光沢や質感は未だ課題となっているようで、今でも従来の絹の
着物を本物とする根強い利用者のほうが圧倒的に多いことも
事実です。

お手入れ方法

●お手入れ方法

いつまでも大切に衣類を着続けるためには日頃のお手入れは欠かせません。
また、同じ物を毎日着用し続けるのもあまりおすすめしません。

洗濯の際は洗濯表示を必ず確認しましょう。

洗濯表示は日本工業規格の繊維製品の取扱いに関する表示記号で規定され、
洗い方や干し方、アイロンのあて方など取り扱い方法の他、使用している繊維の組成
、注意事項、表示者名が記入されています。
基本的に洗濯表示とおりの洗い方をすれば、その衣類は問題なく洗えるという
意味で表示されていますがメーカーによって、手堅く無難に表示を取り付ける
場合も多いので素材によっては洗える物もあり、ご自宅での洗濯の基準は
洗濯表示内の下に書かれている素材や縫製、付属品、染色状態を
見極めることが重要になります。

基本的にご自宅で洗える素材は、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリルくらいで、
それ以外の素材は、クリーニング店にお願いするか、ご自宅でソフトに洗う場合がほとんどです。
(混紡、染色、加工方法、により洗えない衣類もあります)


保管のしかたにも素材によっては注意が必要なものもあります。
ここではそれぞれの素材に合ったお手入れ方法をご紹介致します。



●絹

絹製品はお手入れが大変というイメージが強いですが、
日頃の簡単なお手入れ次第では長く楽しむことが出来ます。

まず、軽くホコリを払って、直射日光のあたらない日陰に干します。
絹は紫外線に弱いので直射日光は避けてください。
汗をかいた場合は黄ばみやカビの原因になりますので固くしぼった濡れタオルと
乾いたタオルで衣類を挟んでたたき、汗の塩分をとばしてください。
シミはベンジン、専用のシミ抜き剤でこすらずに必ずたたいてください。

とても摩擦に弱く水にも弱いのでご自宅での洗濯はお勧めしませんが
やむを得ない場合は中性洗剤で、必ず手洗いをし、もみ洗いは避け、押し洗い、もしくは潜らせ洗い
を心がけてください。

また、アイロンをかける際は必ず低温で当て布をして、手早く行ってください。
ご自身でのお手入れには限界がありますので細心の注意を払いましょう。

着物の場合は必ず専門のクリーニング店にお願いしましょう。

収納は防虫、湿度調整機能のある桐がお勧めです。
型くずれがしないように綺麗にたたんで、詰め込みすぎないようにし、
防虫剤を入れる場合は直接衣類にふれないよう、数も種類も最小限にしましょう。



●綿

綿製品は直接肌に触れる機会も多いですので、着用後は毎回お洗濯をしましょう。
アルカリに強く、洗濯や漂白がしやすいのがメリットですが色落ち、色移りが一番多い
繊維ですので必ず色落ちしないかテストすることをお勧めします。
摩擦によるスレやキズになりやすく、縮んだり、シワにもなりやすいので、
洗濯機での強回転洗いや脱水のやり過ぎには、十分注意が必要です。




●麻

麻は綿よりも色落ちがしやすく、日光、汗や洗濯による変色がしやすく、
摩擦により毛羽立ちがしやすいので、取り扱いには注意が必要です。

蛍光増白剤入りの洗剤の使用は注意が必要です。




●ウール

ウールの表面は、スケールと呼ばれるうろこ状ものが無数にあり、
水に濡れるとスケールが開き、もみ作用によってスケールが絡み合い収縮し、硬くなります。
セーター等の紡毛生地に発生しやすく、スーツ等の梳毛生地にはあまり発生しません。

家庭用のドライマーク衣料洗剤は、シリコン樹脂などでスケールを覆って縮みにくく
工夫をした洗剤ですのでご自宅での洗濯の使用をお勧めします。

また、虫に食われやすいので収納の際には防虫剤を使用されるといいでしょう。



●化学繊維

ポリエステルは、問題なくご自宅で洗える場合がほどんどですが、
薄くデリケートモノ、特殊な飾りが付いている場合は、中性洗剤を使用した手洗いがおすすめです。
非常に丈夫な繊維ですが糸引きなどが発生しやすいので、
ブラウスなどを洗濯する場合は、基本的に洗濯ネットに入れて洗濯を行います。
より白くキレイにするためには弱アルカリ洗剤を粉末酸素系漂白剤を使用して洗濯をおこない、
静電気が発生しやすいので柔軟剤を使用してください。
基本的に色落ちしない場合がほとんどですが、まれに染料が流れ出すものもあるので注意してください。