●ウール
衣類、布団などと綿につづいて馴染みのある素材、ウール。
ウールは羊の毛を刈り取って紡いだ物なので動物繊維で、
人間が毛を取るために改良を重ねた家畜です。
なので毛刈りをしないと死んでしまいます。
動物の皮膚は人間と同様に免疫機能を持っています。
羊毛と言ってももともとは羊の皮膚が変形して生まれたものなの
で、羊を守る為の免疫機能が備わっているのです。
また、化学物質を吸着して無害な物にする働きがあることが実証
されました。化学物質を吸着して空気を浄化してくれ、さらには、
一度吸着したら外部に放出しないという特性を持っていることは
あまり知られていないようです。
吸湿性、断熱性が高く夏涼しく冬暖かいので一年を通して活用で
きる素材として8000年をも超える歴史を持った、繊維の王様
と呼ばれています。
染まりやすく、汚れにくいのでカジュアルな着物としても長く
愛用されています。
地球上には約3000種類の羊がいて、羊の血統や種類や生息
する国や地域によって品質が異なり、衣類、布団、断熱材など
品質に合わせた製品作りがされています。
●羊からウール
一本の糸、毛糸になるまでたくさんの手間がかかっています。
ウール産出国世界一のオーストラリアでは、
羊から刈り取られたウールが熟練した人間により、長さ、太さ、
不純物の混入などを選別し、石けんで綺麗に洗って脂や土砂を
取り除き、適度の水分(約18%)を残し乾かして、からまら
ないように油をかけて機械に通して繊維1本ずつにほぐして、
束ねて、引き伸ばしてと言う工程を何度か繰り返して糸状に
されるのです。
羊は1年間大事に育てられ、春の出産時期を終えて初夏が迫ると
毛の刈り取りが始まります。
羊が風邪をひかないように夏が始まってから毛を刈ります。
一頭の羊から3キロのウールが取れ、スーツなら2着分ほどに
相当します。
羊を育てる人(ウール・グロワー)と、羊の毛を刈り取る人
(シアラー)がいて、毛を分類、管理する人(クラッサー)
がいて、代理店、問屋(ブローカ)がオークションにかけて
買い付け(ウール・バイヤー)されてコンテナーに高圧梱包
されて輸出されます。
いずれの職業も登録制で牧場ごとに契約がされています。
また、取り出された脂は精製されラノリン、グリースなどになり
有効活用されます。
一言でウールと言っても実は種類はメリノ、アルパカ、カシミヤ、
モヘヤなど多種で約3000種ほどになります。
羊と言うとニュージーランドが思い出されますが、羊毛産出国で
はオーストラリアが世界一で、次いで中国、
そしてニュージーランドと続きます。
●羊毛
一般に羊毛の生地には、ビジネススーツ等の手触りの硬い、
しっかりした梳毛織物と膨らみがあり、やわらかい手触りの紡毛
織物の2つのタイプが製造されています。
●自給率
ウールは江戸時代までは全面的に輸入に頼っていました。
第一次大戦後に羊毛の輸入が禁止され、羊の飼育の取り組みが始
まりました。湿度の高い日本の気候では羊の牧畜は向いていなか
ったため、あまり発展しませんでしたが昭和20年から30年ま
でのピーク時には北海道内に約50万頭以上が飼われていました。
昭和25年に羊毛の販売規制が廃止されると海外からの大量の安
い羊毛が入ってきて、さらに化学繊維の普及により、衣料自給の
必要がなくなり、現在の飼育数は約4000頭にまで減少して
いきました。
その後、羊毛で羊肉としての飼育が発達し、メリノ種ではなく
サフォーク種が増え、北海道内では約2万頭にまでになりました。
サフォーク種からとれる羊毛はサフォークウールと呼ばれます。
顔と手足が黒いのがサフォーク種です。
●羊
毛、皮、皮脂、肉、乳、と家畜としては約8000年以上前から
中国で飼育されていた歴史があります。
毛はウール、皮は羊皮紙、皮脂はラノリン、肉、乳は羊肉、羊乳、
チーズなど無駄なく利用されています。
一般的にオスの角はくるくると長く曲がっていますが、
品種によっては角がないものもあります。
群れたがる性質をもち、先導者に従う傾向がとても強いという
生態から、宗教的にもしばし、羊飼い(神)と羊飼いに導かれる
羊(信者)になぞらえられています。
また、中国ではとても大切にされてきたことがあらゆる漢字の
部首に使われていることからも伺えます。